不眠と物忘れ

不眠の人は、そうでない人に比べて物忘れが多いと言われています。

物忘れの原因として「海馬の衰え」が挙げられます。海馬とは、脳の大脳辺縁系に存在する、記憶を司る部分です。海馬とは、タツノオトシゴの別名で、脳の記憶を司る部分がタツノオトシゴに似ている事からそう呼ばれています。

人間がキャッチした情報は、大脳皮質に送られ、その後一時的な保管庫の役割をする海馬に送られます。その後、その情報が重要と判断された場合は再び大脳皮質に戻され、適した場所に振り分けられて行きます。

海馬が衰えると、一時記憶に障害が生じます。つまり、古い出来事は覚えているけれども、新しい出来事が覚えられないという症状が出ます。これが物忘れの原因だと言われています。

そしてこの海馬は、脳の中でもかなりデリケートな部分で、ちょっとした事が原因で直ぐに衰えてしまうと言われています。強いストレスや、脳に強い衝撃が加わったりすると、海馬の神経細胞は直ぐに死んでしまうのです。

不眠も海馬を衰えさせる一つの原因となります。人間は寝ている間に脳や肉体を回復させますが、質の高い睡眠を取れなくなると、脳が記憶の整理や脳細胞の修復などができません。最近物忘れがひどいと感じたら、まずはしっかり眠れる環境を整えてみるのも良いかもしれません。

睡眠不足や不眠は、物忘れ以外でも様々な病気を引き起こします。自律神経が乱れて高血圧を引き起こし、高血圧が動脈硬化を引き起こし、動脈硬化の為脳が傷ついた場合の修復が遅れ、結果的に脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症になる可能性もあります。