ストレスと物忘れのお話

心身両面に、多くの不調をもたらすストレス。実は物忘れも、ストレスから来ていることがあるのです。ここではストレスと物忘れの関わりについて、見て参りましょう。

一般的に、ストレスに苛まれている時は忘れっぽくなりがちだと言われています。ストレスがあると集中力が落ち、すると必然的に理解力や記憶力も落ちるので、物忘れが起きやすいのです。

さらに、ストレスがあると、記憶がきちんと作られないことがあります。記憶は脳の海馬で作られ、電気信号で脳内に留まるのですが、ストレスがあるとそこに別の信号が介入してしまい、記憶の形成が阻害されるのだそうです。過度の緊張やプレッシャー、嫌悪感や不安感を抱えている時の物忘れには、こうした背景があるのですね。

ストレスからうつ病を発症し、うつ病の為に物忘れがひどくなるケースもあります。この場合、特に患者さんが高齢者の方であると一見認知症を発症したように思われることが多いので、仮性認知症と呼ばれています。基本的にはうつ病が治れば物忘れも治るのですが、中には認知症へと移行してしまうケースもあり、注意が必要です。

また、戦争や災害、辛い事件事故等を体験した為に、記憶を失うことがあります。失われる記憶の長さは人によって違い、ある数分間の出来事のみを忘れている人もいれば、それまでの人生の記憶が全体的に欠落する人もいるのですが、いずれも強烈なストレスによる記憶喪失といって差し支えないでしょう。