健忘症は『健やかな物忘れ?』

健忘症。物忘れがある状態を表す際に、よく使われる言葉のひとつです。人や物の名前が出てこず、「私、健忘症かしら。困ったものだわ・・・」と苦笑した経験をお持ちの方も多いはず。

一般的には、「健忘症=加齢や注意力散漫から来る物忘れであり、脳に問題はない」というイメージが強いようですね。

しかし、そもそも健忘の健は「甚だ」という意味であり、けして「健やか」ではありません。健忘症を、「健やかに忘れる症状」と理解している方が多いのですが、本来は「非常に忘れる症状」なのです。

従って、原因の如何にかかわらず、著しい物忘れは全て健忘症と呼べる訳ですね。

健忘症の原因となりうるのは、認知症、うつ病を始め、てんかん、脳炎、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍といった脳の病気などがあります。また、頭部の外傷や代謝性疾患、栄養不足、アルコールや睡眠薬、ドラッグといったものも含まれます。

深刻なトラウマやストレスでも、健忘症が起きることがあるそうです。

また最近は、生活習慣の変化による脳の衰えも問題視されています。特に、短期的な記憶を使う機会が減っていることが、物忘れに拍車をかけていると指摘されています。

たとえば、以前は電話帳等から電話番号を探し、それを自分の脳で消化してダイヤルしていましたが、今は電話機にアドレス記憶機能が付いています。電話番号を見るまでもなく、相手の名前を選んで発信ボタンを押せば済むので、その分脳は怠けてしまうのですね。

「こうした積み重ねから、若い世代にも物忘れが増えているのではないか」と危惧する声もあります。